SDGs目標2 飢餓をゼロに

SDGs

飢餓をゼロにするために、私たちにできること

飢餓の現状と、それを解決するための取り組み

世界の飢餓人口は、2023年時点で約8億2600万人と推定されています。これは、世界の人口の約10%に相当します。飢餓は、子どもの成長や発達に大きな影響を与え、健康や教育、経済成長など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
飢餓をゼロにするために、私たちにできることは、食料の生産量を増やすとともに、食料ロスを減らすことです。また、飢餓の原因となる貧困や紛争などの問題を解決することも重要です。
私たち一人ひとりが、飢餓の現状を知り、できることから行動することで、飢餓のない世界を実現に近づけることができます。

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

ターゲット

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b ドーハ開発ラウンドのマンデートに従い、全ての農産物輸出補助金及び同等の効果を持つ全ての輸出措置の同時撤廃などを通じて、世界の市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

ターゲットの解釈

飢餓とは

 現在、世界人口の10.8%(9人に1人)の8億2000万人以上の人々が危機的な飢餓に直面しています。アフリカのほぼすべての小地域で飢餓が増加しており、アフリカは栄養不足の有病率が最も高く、ほぼ20%になっています。ラテンアメリカとカリブ海地域でも飢餓はゆっくりと増加していますが、その有病率はまだ7%を下回っています。
 また、世界人口の26.4%(4人に1人)の20億人が、中程度または深刻な食糧不安を経験しています。


 5歳未満の子供の発育阻害の有病率は減少していますが、21.9%の1億4900万人がまだ発育阻害を起こしてます。アフリカでは、2012年以降、発育阻害の減少が見られませんし、2018年ではアフリカが全体の54.9%とアジアが全体の39.5%で、世界中の発育阻害児の10人中9人以上を占めています。


 発育不全の子供たちの数は過去6年間で10%の減少はしましたが、改善がなかなか進まず2030年の目標数値の50%削減を達成することは大変難しい状況です。

 2015年には、世界で2,050万人(7人に1人)の乳児が低出生体重児に苦しんでおり2012年以降、世界的に低出生体重児の有病率の改善が見られない状況です。世界保健会議の目標数値である、2030年までに低出生体重児の有病率を30%削減は難しい状況です。
 また、低出生体重児は生後1か月で死亡するリスクが高くなります。

このままでは栄養失調の改善速度が遅すぎて、2025年と2030年の世界的な栄養目標を達成できません。

Image

低出生体重児、0〜5か月の乳児、5歳未満の母乳育児、発育不全、浪費、太りすぎの子供、貧血の生殖年齢の女性、太りすぎの成人の割合の傾向、2012〜 2018年、2025年と2030年の目標。

引用:unicef for every child

出典:発育阻害、消耗、太りすぎのデータは、ユニセフ、WHO、国際復興開発銀行/世界銀行に基づいています。 2019.ユニセフ-WHO-世界銀行
出典:共同の子供の栄養失調の推定–レベルと傾向(2019年3月版);排他的な母乳育児のデータはユニセフに基づいています。 2019.乳児および幼児の授乳:独占的な母乳育児、優勢な母乳育児。ユニセフデータ:子供と女性の状況を監視する;貧血のデータはWHOに基づいています。 2017.グローバルヘルスオブザーバトリー(GHO)
出典:世界保健機関;成人の肥満のデータはWHOに基づいています。 2017.グローバルヘルスオブザーバトリー(GHO)。
出典:世界保健機関;低出生体重のデータは、ユニセフとWHOに基づいています。 2019. UNICEF-WHO Low Birthweight Estimates:Levels and Trends 2000–2015、May 2019. In:UNICEFdata。

注:*消耗は、暦年の間に頻繁かつ急速に変化する可能性のある急性状態です。これにより、利用可能な入力データを使用して信頼できる傾向を経時的に生成することが困難になるため、このレポートは最新のグローバルおよび地域の推定値のみを提供します。

世界の飢餓事情

  • チャドにおける「飢餓」と仕事

 アフリカのチャド中部において「移住」は伝統的な生活形態だ。牧畜民は乾季が来れば、チャド湖周辺や南部の湿地へと向かい牧草地を開拓してきた。雨が降れば、牛を売るために国境地域へと向かうものだった。しかし現在、国境は武装集団に封鎖されており、「移住」には危険と困難が伴う。
 さらに気候変動による不安定な乾季と雨季が、チャドの伝統的な生き方を脅かしている。結果、牧草地をめぐり衝突が多発するため、仕事を失った多くの人々がチャド北部の鉱山地帯での仕事を考えるようになる。金の採掘地帯である北部は、半ば無法地帯ともなっている。したがって鉱山仕事は搾取そのものであり、さらなる貧困へと追い詰められる可能性がある。たとえば人身売買業者や武装集団は、隣国リビアへ安い労働力として北部へ来た人々を販売している。
 毎月両親に送金しても石けん数個を購入できるだけ。二十数名でトラックに乗せられて食事は1日に1回きり、人身売買業者は警察と連携しているケースも報告されている。
 国連世界食糧計画(WFP)は、このようなチャドの人々に対して、鉱山へ向かうのではなく現在の居住地域に留まるように勧めている。WFPは約1600万人の人口を誇るチャドの人々のうち、約240 万人に人道支援を行っている。
 他国と同様、このような飢餓、栄養失調、犯罪に巻き込まれているチャドの人々もまたパンデミックの混乱に見舞われ、致命的な影響を受けている。
 WFPはこの現状を打破するため、さらに支援を強化中だ。2020年度、WFPは同国9州にまたがる8.4万人へ移住することなく、かつ持続可能な生活を促進できるように支援を行った。たとえば、西部のオアシス地域では移住することなく、トウモロコシなどの収穫物を女性が毎週、市場で販売して生活できるような取り組みを行っている。
 チャドにおける「貧困と飢餓」は気候変動のみならず、社会の情勢不安も含む複雑な背景がある。これらの問題に取り組むことが、チャドにおける「貧困と飢餓の撲滅」への第一歩となる
出典:日本国際飢餓対策機構(ハンガーゼロ)

  • マダガスカル南部:政府と国連が飢饉のリスクに警鐘、支援を要請
マダガスカル、コミューンシハナマロ、アンドロワ地域、2021年4月28日写真:マダガスカルのグランドシュッドにおける食糧安全保障危機の中心の1つであるシハナマロコミューンに住む子供、ロジア(4)。 写真:WFP / Krystyna Kovalenkoシハナマロのコミューンは、干ばつの影響を受けたマダガスカル南部のアンドロワ地域の首都アンブブンベから30kmの場所にあります。 4月中旬、シハナマロ市長は、この地域でのケレ(飢餓)に関連した数人の死者に続いて、WFPの支援を求めました。 WFPミッションが組織され、地上での憂慮すべき状況が確認されました。 食料安全保障と生計のクラスターが動員され、数百人の栄養失調の子供たちと飢餓で衰弱した高齢者のために、温かい食事の最初の配布が実施されました。

マダガスカル、アンタナナリボ ― マダガスカル南部では、日を追うごとに飢餓が深刻化し、多くの命が危険にさらされています。国連食糧農業機関(FAO)とWFP国連世界食糧計画(国連WFP)の2つの機関が、目に見えない人道的危機に国際的な関心を向けようと警告を発しています。
 マダガスカル南部の約114万人が高いレベルの急性食料不安に直面しており、そのうち約1万4千人が「カタストロフィー」(フェーズ5:総合的食料安全保障段階分類(IPC)の5段階のうち最も高いレベル)に陥っています。
 2016年にIPCの手法が導入されて以来、マダガスカルでフェーズ5の人々が記録されたのは初めてのことです。今すぐ緊急の対策を講じない限り、2021年10月から始まる次の「リーンシーズン」(次の収穫を前に食料が不足する時期)には、「カタストロフィー」カテゴリーの人々の数が倍増すると予想されます。
干ばつ、砂嵐、動植物の病害虫、新型コロナウィルスの影響により、最も被害の大きかったアンボアサリ・アトサイモ地区(Amboasary Atsimo district)では、4分の3もの人々が悲惨な状況に直面しており、世界の急性栄養不良率は27%という驚くべき数値を超え、子どもたちに取り返しのつかないダメージを与えています。
「もはや問題はどれだけ悪いかということではなく、最悪の状況です。子どもたちが飢え、死んでいるのです。私は、生後2カ月にしか見えない8カ月の子どもを持つ母親に会いました。彼女はすでに年上の子供を亡くしていました。」先日、最も被害の大きかった地域のひとつであるシアナマロを訪れた国連WFPのアメル・ダウディ上級オペレーションディレクターは、次のように述べています。「村全体が閉鎖され、都市部に移っていくのをすでに目の当たりにしています。これは、すでに脆弱な状況にさらなる圧力をかけています。」
 過去40年間で最悪の干ばつは、3年連続で発生しており、収穫物は全滅し、人々の食料へのアクセスが妨げられています。干ばつの影響の他にもすでに、長年にわたる森林伐採とそれに伴う侵食(現在は気候変動によってさらに悪化)が環境を荒廃させ、未曾有の砂嵐が広大な耕作地は荒地になっていました。
2019/20年の農業シーズンでは、食料生産量が激減しました。その後、2020/2021年にも降雨量が少なく、5年連続で島の半乾燥地帯である南部で平均以下の雨が続いたことで、状況はさらに悪化しました。
2021年のコメ、トウモロコシ、キャッサバ、豆類などの収穫量は、5年平均の半分以下になると予想され、2021年10月から長期にわたる深刻な「リーンシーズン」(次の収穫を前に食料が不足する時期)が到来することになります。
「マダガスカル南部で深刻な食料不安に直面している人々の95%が農業、畜産業、漁業で生活しているということは、直感に反する事実です。干ばつに次ぐ干ばつによる長年の不作と、天候による漁業への被害が、人々を窮地に追い込んでいます。私たちは、家畜を生かし、種子、灌漑、農業道具、漁具などを提供して、地域の食料生産と入手可能性を迅速に向上させるために、緊急に行動を起こさなければなりませんが、長期的には、より気候変動に強い農業生活を構築する必要性を無視することはできません。」と、FAOのドミニク・ブルジョン緊急事態・レジリエンスディレクターは述べています。
 脆弱な世帯の生活が大きく損なわれ、食料へのアクセスが低下していることを考えると、農業コミュニティに種子や道具などの必要な資材を提供することは、地元での食料生産を再開し、収入を得て、回復力を高めるために不可欠です。このような農業や農村生活への支援は、非常食を補完し、家族が生き延びるために農機具や調理器具などの生産するための資産を売ることを防ぎます。
出典:世界食糧計画(「WFP」)ニュースリリース

日本の飢餓事情

  • 増え続ける「こども食堂」とその多様なあり方
     飢餓というと、住むところもなく、着るものもボロボロで、その日に食べるものにも困るようなイメージを抱くかもしれません。しかし、今問題となっているのは相対的貧困層の飢餓です。従来の飢餓のイメージとは違い、その人が飢餓に苦しんでいることは、一見誰も気づかないのです。この相対的貧困層の飢餓が今の日本で社会問題となっています。
     相対的貧困層の飢餓とは、その日の食事に困っている層を指します。その人、もしくはその家庭が困っているのは食事や食べる物が買えないなどの場合、見た目では飢餓であることが分からないケースが多いとされています。
     身なりや、家の中には家電製品や通信機器が充実しているケースも少なくないでしょう。しかしこの場合、食費よりも被服費や通信費等を優先していることが飢餓の要因となってしまいます。
     日本で仕事をするためには、ある程度きちんとした身だしなみが必要で、スマホやパソコンといった通信機器も必要な場合が多く、家賃や保険など生活に必要なお金もあるでしょう。そのため、必要に迫られて、食費よりもそれらを優先してしまうことが多くあります。
     2015年のOECDの調査では、日本において相対的貧困率が15.6%です。
    相対的貧困率とは、収入がその国の所得の中央値より半分以下の世帯の割合です。つまり、日本の所得の中央値が300万円だとした場合、年収150万円以下の世帯を指します。
     この相対的貧困の家庭が、日本では15.6%。つまり、7世帯のうち1世帯が相対的貧困にあたることになります。しかも、一人親の家庭に限った場合、相対的貧困率は50.8%にもなることが厚生労働省の調査により明らかになっています。
    出典:gooddo

食糧問題

「ショクリョウ」と言っても、「食料」と「食糧」の2通りがあることをご存知ですか?
「食料」は食べ物全般のことを示します。ですから食べる物がないを表し
「食糧」は主食のことで米や小麦、トウモロコシ、ジャガイモなどを指します。

日本での廃棄食料は年間2,531万トン(2018年)そのうち食べれる食品が600万トン(消費者庁)と言われてます。途上国に住む人たち5,000万人分の食糧になり、世界中で飢餓で亡くなる子どもたちは年間920万人と言われてますから数字上では全子供たちを救うことができます。

世界の穀物生産量は、年間26億5千万トン以上あり物流を解決できれば、この問題も縮小していきます。

食品ロス

震災などの、災害時対策にも使える備蓄法
ふだん食べている食品を少し多めに買い置きして、食べたらその分を買い足していく。この方法は、
備える→食べる→買い足すことを繰り返しながら、
食品を貯蔵していくので、ローリングストック法と呼ばれています。特別なものを買わずに、簡単に備蓄することができます。また、賞味期限切れで廃棄してしまう食品ロスを防ぐことにもなります。

引用:死なない防災!そなえるTV https://www.youtube.com/watch?v=oeIq155Zls8

合わせて読みたい

SDGs目標1 貧困をなくそう 
SDGs目標1 貧困をなくそう。あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。目標とターゲットを企業や団体の取り組みを折り込み解説
SDGs目標3 すべての人に健康と福祉を
大人になることができないこどもたち。5歳未満児死亡率と原因は、5歳の誕生日を迎えることなく亡くなる子どもは年間520万人。6秒にひとり、1日に約1万4,000人の5歳未満児が命を落としている。 5歳未満児の3大死亡原因は、肺炎、下痢性疾患、マラリア。

過去にもこんな記事も書いてます

SDGsについて
成り立ちから構成、17の目標の解説
平和と公正の実現に向けて: 中小企業の人事担当者が知るべきSDG目標16
SDG目標16「平和と公正をすべての人に」への取り組みは、企業運営における重要な責任です。平和な社会と公正なビジネス環境を構築するための具体的かつ実践的な戦略を提供します。中小企業がいかにして社会的責任を果たし、持続可能な開発に貢献できるかを探ります。
タイトルとURLをコピーしました