産休・育休・産後パパ育休の手続き|中小企業人事の対応チェックリスト

人事労務

社員から「妊娠しました」「配偶者の出産に合わせて育休を取りたい」と相談されたら、人事は何から始めればよいのでしょうか。

まず行うのは、出産予定日と本人の希望を確認し、利用できる休業制度を個別に説明することです。そのうえで、会社への休業申出、給付申請、社会保険料免除、復職準備をそれぞれ管理します。

本記事は2026年10月1日時点の公的資料を確認して作成しています。 法改正・給付額・申請様式は変更されることがあります。実際の手続前には、最新の厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構・加入する健康保険の案内を確認してください。

この記事では、法律上の会社の義務、給付制度、ぼっち人事LABの実務提案を区別して説明します。小規模な会社でも、法定の休業や両立支援への対応は必要です。

1.妊娠・出産の相談を受けたら、最初のチェックリストを使う

最初の面談で「確定事項」と「希望・未定」を分ける

相談の段階で、休業日程がすべて決まっている必要はありません。次の項目を整理し、未定の項目は次回の確認日を決めます。

確認すること人事の次の行動位置づけ
本人の出産か、配偶者の出産か。出産予定日、多胎か産前産後休業・出生時育児休業などの対象期間を確認制度・手続の判断に必要
雇用形態、契約期間・更新見込み、週の所定労働日数休業対象と労使協定の適用を確認法定要件の確認
希望する休業、開始日・終了日、分割の希望申出期限と書類を案内。相談と正式な申出を区別法定手続の確認
育休等を取得する意向個別周知と意向確認を実施。未定の回答も受け止める会社の法的義務
始業・終業時刻、勤務地、制度利用期間、両立の支障となる就業条件への希望個別に意向を聴き、働き方を検討する意向聴取・配慮は会社の法的義務
雇用保険・健康保険・厚生年金の加入、給付に必要な履歴休業の資格と給付・免除の条件を別々に確認給付・保険手続の確認
業務引継ぎ、代替担当、休業中の連絡方法上司と担当範囲を決め、本人と連絡頻度を相談社内運用・実務提案
復職の見通し、保育所申込み、次回面談復職前と3歳前の確認予定を管理表に入れる社内運用+将来の法定対応

チェックリスト全体が、そのまま法律で定められた聞き取り様式というわけではありません。法定の周知・確認・意向聴取を実施しつつ、実務に必要な事項を補うための表です。

人事対応の流れは、本人と配偶者で分かれる

共通する初動は、相談受付 → 個別周知・取得意向確認 → 両立の意向聴取・配慮 → 休業計画と申出手続です。

  • 出産する本人:産前産後休業 → 希望に応じて通常の育児休業 → 復職準備・復職
  • 配偶者の出産を迎える社員:産後パパ育休や通常の育児休業を選択・組合せ → 復職準備・復職
  • 両者に共通:給付・社会保険手続を並行管理 → 復職後の両立支援 → 3歳前の個別対応と3歳以降の働き方

全員が産休、産後パパ育休、通常育休をこの順に取るわけではありません。父親が出生時から通常の育児休業を取ることもできます。

2.制度を個別に説明し、取得意向と働き方の希望を確認する

個別周知・取得意向確認は、本人と配偶者の申出が対象

社員から本人又は配偶者の妊娠・出産等の申出を受けたら、会社は次を個別に周知し、休業取得の意向を確認します。

  • 通常の育児休業と産後パパ育休の制度
  • 会社への申出先
  • 育児休業給付と出生後休業支援給付
  • 休業期間中の社会保険料の取扱い

方法は面談又は書面交付が基本です。本人が希望する場合はFAX・電子メール等も使えます。面談日時、説明内容、本人の回答を記録しておくと、その後の申請漏れを防げます。記録の作成は本記事の実務提案であり、面談記録自体が一律の法定義務という意味ではありません。

「人が足りないから取らないでほしい」「男性の取得例はない」といった、取得を控えさせる説明は認められません。制度説明を上司任せにせず、人事から本人へ伝わったことを確認しましょう。厚生労働省:個別周知・意向確認等

2025年10月からは、個別の意向聴取と配慮も義務

休業を取るかの確認に加え、本人が希望する始業・終業時刻、就業場所、両立支援制度の利用期間、両立の支障となる就業条件を聴きます。会社は、その意向を踏まえて自社の状況に応じた配慮を行う必要があります。

たとえば「保育所の迎えに間に合う時刻に退勤したい」という希望を受けたら、勤務時刻、担当業務、業務量を検討します。すべての希望を必ず実現する制度ではありませんが、聴くだけで終わらせず、検討結果と対応内容を本人に説明する運用にしましょう。意向聴取は妊娠・出産等の申出時だけでなく、子が3歳になる前の所定の時期にも必要です。厚生労働省:2025年改正の案内

3.産前産後休業の日程と、妊娠中の配慮を確認する

産前は本人の請求、産後は原則として就業禁止

産前産後休業は、労働基準法に基づく制度です。出産する女性労働者が対象で、パート・契約社員も含まれます。勤続年数や雇用保険加入を理由に対象外とはできません。

区分期間・会社の対応
産前休業出産予定日の6週間前から、本人が請求した場合に休業。多胎妊娠は14週間前から
産後休業出産翌日から8週間は原則就業禁止。産後6週間を経過し、本人が請求し、医師が支障なしと認めた業務に限って例外あり

出産当日は産前に含めます。予定日より出産が遅れても、産後8週間を短くしません。予定日と実際の出生日を分けて管理し、確定後に育休開始日や保険手続の日付を更新します。厚生労働省:産前・産後の休業

休業前の体調や医師の指導にも対応する

妊娠中の通院に必要な時間の確保や、医師等の指導に基づく勤務軽減などの母性健康管理は、休業手続とは別に確認します。本人から相談があれば、母性健康管理指導事項連絡カード等を活用して勤務内容を調整します。

引継ぎ完了を産休取得の条件にせず、会社が業務分担を整えます。産休中の在宅勤務を当然の支援策として組み込むことも避け、休業と勤務を明確に管理してください。厚生労働省:働く女性の心とからだの応援サイト

4.通常の育児休業と産後パパ育休を選び、申出を受ける

2つの育休は、期間・分割・申出期限が違う

確認点通常の育児休業産後パパ育休(出生時育児休業)
主な対象子を養育する男女の労働者産後休業をしていない、子を養育する労働者
取得期間原則1歳まで。条件を満たせば1歳6か月、さらに2歳まで延長原則出生後8週間以内に通算28日まで
分割1歳まで原則2回2回まで。原則として初回にまとめて申出
申出期限原則開始1か月前。1歳6か月・2歳までの延長は2週間前原則開始2週間前。一定の環境整備等と労使協定により最大1か月前
休業中の勤務恒常的な勤務を組み込む制度ではない事前の労使協定と本人の申出・同意等がある場合に限り、一定範囲で可能

産後パパ育休と通常育休の分割回数は別枠です。出産予定日と実際の出生日がずれる場合は、出生時休業の対象期間も公式資料で確認します。通常の育児休業、産後パパ育休

パート・有期雇用の社員は、雇用形態だけで除外しない

通常の育児休業では、有期雇用の社員について、申出時点で子が1歳6か月になるまでに契約が満了し、更新されないことが明らかでないかを確認します。2歳までの休業や産後パパ育休には、それぞれの契約期間の確認基準があります。

また、労使協定がある場合、通常育休では次の社員の申出を拒めることがあります。

  • 継続雇用1年未満
  • 申出から1年以内に雇用関係が終了することが明らか(延長の場合は6か月以内)
  • 週の所定労働日数が2日以下

「入社1年未満だから全員不可」とは判断しません。労使協定の有無・対象範囲を確認します。産後パパ育休では雇用終了見込みの期間が申出から8週間以内となるなど、通常育休と異なります。休業を取るだけで雇用契約が終わるものではありませんが、有期契約が自動的に延長されるわけでもありません。契約更新は別途確認し、休業取得を理由とした雇止めはしないでください。厚生労働省:通常育休の対象・会社の義務、出生時育児休業の詳細

正式な申出後は、日程と取扱いを通知する

人事は申出書を受け取り、対象要件、開始・終了日、分割、必要な確認資料を点検し、会社から休業の取扱いを速やかに通知します。提出が遅れた場合は、一律に取得不可とせず、法令上の開始日指定や例外の取扱いを確認してください。

1歳以降の延長は、保育所に入れない場合や養育予定の配偶者に事情が生じた場合など、条件を満たすときの制度です。1歳時点で2歳まで一括確定するのではなく、1歳と1歳6か月の節目ごとに確認します。両親が取得する場合は、条件を満たせば1歳2か月まで取得できるパパ・ママ育休プラスも確認しましょう。

産後パパ育休中の就業は、本人の希望と別の手続が必要

会社に事前の労使協定があり、本人が就業できる日・時間等を申し出たうえで、会社が提示し、休業開始前日までに本人が同意した場合に限って就業できます。所定労働日数・時間のそれぞれ半分以下などの上限があり、初日・最終日に働く場合はその日の所定時間未満であることも必要です。

「忙しい日は呼び戻す」と会社が決めることはできません。法律上就業できる範囲と、給付を受けられる就業日数・時間は別の条件として確認します。

男性育休の取得状況を公表する義務もある

2025年4月から、常時雇用する労働者が300人を超える企業は、男性の育児休業等の取得状況を年1回公表する必要があります。直前事業年度の男性育休等取得率、又は男性育休等と育児目的休暇を合わせた取得率が公表対象です。会社全体の規模で判断し、産後パパ育休も含めます。

300人以下の会社にこの公表義務がなくても、個別周知や休業への対応は必要です。厚生労働省:取得状況の公表

5.給付・社会保険・給与の手続を、休業とは別に管理する

「休業を取れる」と「給付を受けられる」は別

休業の取得条件を満たしていても、雇用保険の加入期間などによって給付対象にならないことがあります。加入しているというだけで、給付を約束しないでください。

育児休業給付・出生時育児休業給付は、原則として休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上必要です。この基準で不足する場合は、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月も確認します。疾病等による確認期間の緩和や、有期雇用の要件もあります。就業日数・時間、休業期間を対象とした賃金も確認します。

給付主な内容人事が確認すること
育児休業給付金原則、休業開始時賃金を基に180日まで67%、181日以降50%加入履歴、休業・就業の実績、賃金。出生時給付の日数も180日に通算
出生時育児休業給付金産後パパ育休に対し最大28日、原則67%分割した期間、就業日数・時間、対象賃金を区別
出生後休業支援給付金要件を満たす場合、最大28日、13%を上乗せ対象期間内の本人14日以上の休業、配偶者の休業又は例外、確認書類
育児時短就業給付金2歳未満の子のための時短就業。原則、当月賃金の10%週所定時間の短縮、加入履歴等、対象月の条件、賃金低下

出生後休業支援給付は、父親等の対象期間が原則出生後8週間、出産した母親は原則出生後16週間です。予定日と出生がずれる場合は対象期間の調整があります。配偶者も原則14日以上の育休が必要ですが、配偶者が産後休業中、無業、自営業などの場合には例外があります。業務が忙しく取得しないという理由だけで例外にはなりません。

67%と13%を合わせて80%となる仕組みを、誰でも給与・手取りが全額保証される制度とは説明しないでください。給付には上限や賃金による調整があります。通常育休の給付は、1支給単位期間の就業が10日以下、10日を超えるなら80時間以下であることなども条件です。出生時給付では28日の休業なら最大10日、超える場合は80時間以下で、休業が短ければ比例して上限も短くなります。時短給付も、時短前賃金に対する当月賃金の割合が90%を超えると支給率が調整され、100%以上では支給されません。最新の金額は公式資料で確認します。育児休業等給付・2026年8月版、育児時短就業給付・2026年8月版

申請担当・必要書類・期限を先に決める

休業申出書、会社の取扱通知、賃金台帳、出勤簿、出産予定日・出生日の確認資料等をそろえ、管轄ハローワークへの申請担当と本人からの提出予定を管理します。給付ごとに申請開始日・期限が異なるため、休業日程の表に申請予定日も入れます。

2026年8月1日には、出生時給付の賃金申告、出生後支援給付の確認書類、時短給付の賃金証明・所定労働時間等の確認方法が見直されています。以前の社員の申請をそのまま複製せず、現行様式と記載要領を使用してください。厚生労働省:申請手続の見直し

保育所に入れず給付を延長する場合、2025年4月からは速やかな復職のための申込みかどうかも確認されます。延長申告書、保育所利用申込書の写し、不承諾通知等が必要です。本人に申込書の控えを残してもらい、自治体の申込期限を早めに確認しましょう。会社での休業延長と、ハローワークによる給付延長の判断は別です。厚生労働省:給付延長手続

社会保険料免除は、月額と賞与を分けて確認する

被用者健康保険・厚生年金の産前産後休業、育児休業等には、本人と会社の双方の保険料免除制度があります。休業届だけで自動的に免除されるわけではなく、会社からの届出が必要です。

  • 産前産後休業:原則、休業開始月から、終了日の翌日が属する月の前月まで
  • 育児休業等の月額保険料:原則は同様。開始日と終了日の翌日が同じ月でも、その月に14日以上の休業を取得した場合は免除の対象
  • 育児休業等の賞与保険料:賞与支払月の月末を含む、連続した1か月を超える休業が必要

短期・分割の産後パパ育休では、月額の14日要件と賞与の1か月超要件を混同しないでください。届出は休業中又は終了から1か月以内に行い、期間変更や早期終了があれば変更・終了手続も確認します。産前産後休業の届出、育児休業等の免除条件

出産手当金・出産育児一時金は、雇用保険の給付ではない

出産手当金は、被用者健康保険の被保険者本人が出産のために休み、給与を受けられない場合などの所得補償です。協会けんぽでは、原則、支給開始前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が1日当たりの支給額です。産前42日、多胎98日、産後56日が対象期間の基本で、支給開始前の加入期間や給与支払によって扱いが変わります。被扶養者の出産に本人向けの出産手当金が出る制度ではありません。

出産育児一時金は出産費用に対する給付で、1児につき原則50万円、産科医療補償制度の対象外等は48.8万円です。扶養家族の出産に対する家族出産育児一時金や、医療機関への直接支払制度もあります。加入先へ確認してください。協会けんぽ:出産手当金、出産育児一時金

給与担当と、休業中の取扱いを共有する

産休・育休という法定の休業を取ること自体で、会社に給与支払義務が生じるわけではありません。自社の賃金規程に沿って、給与・賞与・手当、社会保険料、住民税の徴収方法を本人へ説明します。給付は入金まで時間がかかるため、給与と同時に入ると約束しないことも大切です。

また、産前産後休業と法定の育児休業の期間は、年次有給休暇の出勤率を計算するときに出勤したものとして扱います。厚生労働省:休業中・休業後の取扱い

6.復職前に面談し、勤務・配置・保険手続を整える

復職予定日だけでなく、働ける条件を確認する

ぼっち人事LABの実務提案として、復職前に本人・上司・人事で次を確認します。

  • 復職予定日と保育所等の状況
  • 勤務時間、勤務地、担当業務、業務量
  • 短時間勤務、労働時間の制限、子の看護等休暇の利用
  • 給与・手当・評価の取扱い
  • 突発的な休みに備えた連絡方法と代替担当

復職時の面談は、公的指針でも望ましい対応とされています。妊娠・出産申出時や3歳前に必要な法定対応とは区別して管理します。

配置は原職又は原職相当職への復帰に配慮し、本人の意向を踏まえて検討します。休業取得を理由に降格させる、不利益な配置をするなどの対応は禁止されています。一方で、すべてのケースで必ず同じ職位・仕事に戻す義務と断定するのも適切ではありません。厚生労働省:復職への配慮と不利益取扱い、不利益取扱いの禁止

時短勤務と時短給付は、年齢の範囲が違う

3歳未満の子を養育する労働者には、原則として1日6時間を含む短時間勤務制度を会社が用意します。対象外・労使協定による除外、短時間勤務が困難な業務への代替措置には条件があります。

これに対し、育児時短就業給付は2歳未満が対象です。同じ子の給付対象育休から引き続いて時短就業を開始するか、原則として開始前2年に給付資格に必要な12完全月があることなどを確認します。月全体で雇用保険の被保険者であることや、他の給付との関係にも条件があります。「3歳まで時短勤務を使えるから、3歳まで給付も出る」と案内しないでください。3歳未満の子を養育する社員へのテレワーク導入は2025年4月から努力義務ですが、誰でも希望どおりのテレワークが法定で保証される制度ではありません。厚生労働省:短時間勤務制度

復職後に報酬が変わる場合は、本人の申出に基づく「育児休業等終了時報酬月額変更届」と、3歳未満の養育期間について将来の年金額計算に従前の標準報酬を用いる「養育期間標準報酬月額特例」を別々に検討します。いずれも自動適用と思い込まず、本人へ案内してください。日本年金機構:復職後の報酬変更、養育期間の特例

7.復職後は、休暇と労働時間の制限を使い分ける

子の看護等休暇は、小学校3年生修了まで

2025年4月から「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」に変わり、対象が小学校3年生修了までに広がりました。子が1人なら年5日、2人以上なら年10日で、日単位・時間単位の取得ができます。

病気・けがの世話、予防接種・健康診断に加え、感染症に伴う学級閉鎖等、入園・入学式、卒園式でも利用できます。授業参観や運動会など、すべての学校行事が法定の利用事由になるわけではありません。

労使協定による勤続6か月未満の除外は廃止されました。週の所定労働日数2日以下の除外は残り、時間単位の取得が困難な業務を協定で除外する場合も、日単位の取得とは区別します。有給か無給かは自社規程で確認してください。厚生労働省:子の看護等休暇

所定外・時間外・深夜業の制限は、それぞれ別の制度

いずれも育児では小学校就学前の子を養育する労働者が対象となる制度ですが、制限する内容と請求期間が違います。

制度請求を受けた会社の対応請求の基本
所定外労働の制限会社の所定労働時間を超える勤務を免除開始1か月前、期間1か月〜1年
時間外労働の制限法定時間外労働を月24時間・年150時間以内に制限開始1か月前、期間1か月〜1年
深夜業の制限22時〜5時の勤務を制限開始1か月前、期間1か月〜6か月

所定外労働の制限は、2025年4月から対象が3歳未満から就学前まで拡大しました。3つの制度とも、対象外となる社員や事業の正常な運営を妨げる場合等の例外がありますが、除外条件は同一ではありません。所定外労働は労使協定による除外、時間外・深夜業は法定の対象外条件を確認します。単に「人手不足だから」と一律に断らず、個別に確認してください。所定外労働、時間外労働、深夜業

8.3歳前に再確認し、3歳以降の柔軟な働き方につなげる

会社は5種類から2つ以上を用意し、社員が選ぶ

2025年10月から、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、会社は次の5種類から2つ以上の措置を用意する義務があります。社員は、会社が用意した措置から1つを選んで利用できます。

  1. 始業時刻等の変更(時差出勤等)
  2. テレワーク等
  3. 保育施設の設置運営等
  4. 養育両立支援休暇の付与
  5. 短時間勤務制度

選ぶ前に、過半数労働組合又は過半数代表者へ意見を聴く機会を設けます。テレワーク等は週5日勤務の労働者で月10労働日以上、週の所定労働日数が異なる場合はそれに応じた日数を確保します。養育両立支援休暇は年10労働日以上など、選ぶ措置ごとに必要な仕様があります。制度名を2つ並べるだけで足りるものではありません。日々雇用の社員は対象外で、勤続1年未満・週の所定労働日数2日以下を労使協定で除外できるなどの条件も確認します。厚生労働省:柔軟な働き方

3歳になる前の個別周知・意向確認を忘れない

子が1歳11か月に達する日の翌々日から、2歳11か月に達する日の翌日までの1年間に、会社が用意した措置、申出先、所定外・時間外・深夜業の制限を個別に周知し、利用意向を確認します。同じ時期に、仕事と育児の両立についての意向聴取・配慮も必要です。

人事の実務では、出生日を登録した時点で対象期間と面談予定を設定すると漏れを防げます。子が3歳になってから案内を始める運用にしないことがポイントです。厚生労働省:3歳前の個別対応

9.取得を妨げない職場づくりと、制度変更への対応を続ける

不利益取扱いの禁止とハラスメント防止は会社の責任

妊娠・出産、育休等の申出や取得を理由とする解雇・雇止め・降格等の不利益取扱いは禁止されています。産後パパ育休中の就業に同意しなかったこと、柔軟な働き方の利用、聴取した意向の内容などを理由とする不利益取扱いも認められません。

会社はハラスメントを防ぐための方針周知、相談体制、相談後の適切な対応、再発防止等の措置を講じます。相談者のプライバシーを守り、相談・事実確認への協力を理由に不利益を与えないことも必要です。

育休を申し出やすい雇用環境の整備としては、研修、相談体制、取得事例の収集・提供、制度と取得促進方針の周知のうち1つ以上を実施します。小さな会社なら、人事窓口の明確化と管理職への説明から具体化しましょう。休業の手続だけでなく、取得を妨げないことも会社の重要な責任です。厚生労働省:相談と禁止事項

2026年以降の変更は、現在の制度と分けて確認する

2026年10月1日から、国民年金第1号被保険者が1歳未満の子を養育する期間の保険料免除制度が始まります。厚生年金に加入する会社員の育休免除とは別制度です。本人や配偶者が第1号被保険者の場合は、公式案内につなぎます。厚生労働省:国民年金の育児期間免除

短時間労働者の被用者保険では、2026年10月に月額賃金8.8万円以上という要件が撤廃されました。企業規模の適用拡大は2027年10月に36〜50人の企業にも及びます。この人数は社会保険の制度上の数え方で確認します。また、雇用保険の週所定労働時間の要件は2028年10月に20時間以上から10時間以上へ拡大されます。これらは保険加入に関する変更で、休業の取得資格そのものとは区別します。社会保険適用拡大Q&A、厚生労働省:成立した雇用保険改正法の公布通知

人事が最初に用意したいのは、制度を一冊にまとめた資料より、社員ごとの対応管理表です。出産予定日、休業期間、周知・面談、給付申請、保険届出、復職準備、3歳前の対応を一つの表に並べ、担当と次の期限を確認できるようにしましょう。

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