女性活躍推進法の対応を始めるときは、まず自社の「常時雇用する労働者数」を確認してください。中小企業でも101人以上なら、一般事業主行動計画の策定・届出・公表と、女性活躍情報の公表が義務になります。
2026年4月1日からは、101人以上の事業主について、男女間賃金差異と女性管理職比率が情報公表の必須項目になりました。ただし、施行日に全企業が一斉に数値を公表する仕組みではありません。自社の事業年度と初回公表の経過措置を確認して進めます。厚生労働省:2026年改正のポイント
この記事は、中小企業の新人・若手人事担当者が、義務の判定から行動計画、数値の算出、公表、毎年の確認まで進めるための実務ガイドです。
実務の流れ:人数確認→義務判定→状況把握・課題分析→行動計画と数値目標→社内周知・外部公表・労働局届出→賃金差異・管理職比率の算出→必要情報の公表→毎年の確認・更新。
制度確認日:2026年10月13日。 本文では「法定義務」「努力義務」「公的推奨」「LABの実務提案」を区別しています。国・地方公共団体の特定事業主の手続きは対象に含めません。
1.常時雇用する労働者数で、自社の義務を判定する
正社員だけで数えない
「常時雇用する労働者」は、正社員という名称の人だけではありません。期間の定めなく雇用する人のほか、有期契約や日々雇用でも、過去1年以上続けて雇用している人、又は雇入れ時から1年以上続けて雇用すると見込む人を含みます。パート、契約社員、アルバイトという名称や、短い勤務時間だけを理由に除外しないでください。厚生労働省:施行通達・第2の6(3)
判定の単位は原則として事業主です。同じ法人の本社・支店・工場をまとめて確認します。法人が異なるグループ会社を機械的に合算するものではありません。派遣先が受け入れる派遣社員は直接雇用する社員と分け、派遣元は自社で雇用する派遣社員を含めて確認します。
LABの実務提案: 人員台帳に「契約期間・雇入れ日・継続雇用の実績/見込み・法人名・判定理由」を記録します。給与計算で使う人数や、後述する賃金差異の人員換算を、そのまま義務判定の人数に流用しないことが大切です。
企業規模別の最低対応
以下は、通常の一般事業主に対する義務です。プラチナえるぼし等の特例認定を受けた事業主は、後述の適用除外と実績公表を確認してください。
| 常時雇用する労働者数 | 行動計画の策定・届出等 | 行動計画の数値目標 | 女性活躍情報の最低公表項目 |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 義務 | 原則、機会提供と両立環境の両区分から各1つ以上 | 男女間賃金差異+女性管理職比率+機会提供から1項目以上+両立環境から1項目以上=計4項目以上 |
| 101~300人 | 義務 | 1つ以上 | 男女間賃金差異+女性管理職比率+両区分の14項目から1項目以上=計3項目以上 |
| 100人以下 | 策定・届出は努力義務 | 策定する場合は数値目標を設定 | 16項目から1項目以上を定期公表する努力義務 |
根拠:女性活躍推進法第8・20条、一般事業主行動計画等省令第2の2・19・20・20の2条。
100人以下でも、行動計画を策定・変更する場合は、状況把握・課題分析、数値目標設定の規定が準用され、策定・変更後の社内周知と外部公表が必要です。「努力義務だから、作った計画を周知しなくてよい」とは考えません。
中小企業という企業区分と、この法律の人数基準は別です。人数が101人以上になった時点で、行動計画の策定・届出義務を確認します。法の有効期限は、2036年3月31日まで延長されています。厚生労働省:施行通達
2.2026年改正は、4月の情報公表と10月の認定要件を分ける
4月1日からの最低公表項目
| 企業規模 | 2026年4月改正前 | 2026年4月改正後 |
|---|---|---|
| 301人以上 | 賃金差異+機会提供・両立環境から各1以上=計3以上 | 賃金差異+女性管理職比率+機会提供・両立環境から各1以上=計4以上 |
| 101~300人 | 選択項目から1以上 | 賃金差異+女性管理職比率+その他の選択項目から1以上=計3以上 |
| 100人以下 | 1以上の定期公表が努力義務 | 1以上の定期公表が努力義務。2つの必須指標は自社の公表項目として選べる |
根拠:厚生労働省:情報公表の改正後一覧。表の改正前基準は比較用であり、現在の対応には右欄を使います。
女性の健康上の特性への配慮も法の基本原則で明確化されました。4月からは、健康支援に取り組む企業向けの「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」が始まっています。厚生労働省:プラス認定の案内
10月1日からのプラチナえるぼし認定要件の変更は、求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置の内容公表に関するものです。後半で、均等法の防止措置義務との違いを整理します。
初回公表は自社の決算期から逆算する
101~300人の新たな男女間賃金差異の公表と、101人以上の新たな女性管理職比率の公表は、2026年4月1日以後に最初に終了する事業年度に対応して行います。事業年度終了後、新年度が始まってから、速やかに、おおむね3か月以内に公表する取扱いです。
| 施行後に最初に終了する事業年度 | 初回公表の目安 |
|---|---|
| 2026年4月末に終了 | おおむね2026年7月末まで |
| 2026年12月末に終了 | おおむね2027年3月末まで |
| 2027年3月末に終了 | おおむね2027年6月末まで |
根拠:厚生労働省:賃金差異通達・別添第5(3)、管理職比率通達・別添第5(3)。
3月決算の場合、2026年3月31日は施行前なので、新規義務の初回は通常2027年3月期に対応します。ただし、301人以上の事業主の男女間賃金差異は以前から公表義務があります。新規項目の経過措置を理由に、従来の年度公表を止めないでください。
また、賃金差異は原則として直近の事業年度の賃金を用いる一方、女性管理職比率は最新の時点情報を用います。管理職比率のデータは古くとも公表年度の前事業年度時点とし、最新なら当年度時点でも差し支えありません。給与の対象年度と管理職の基準日を分けて記載します。
3.行動計画は、状況把握と課題分析から作る
最初に確認する5つの基礎項目
行動計画を作る前に、採用した労働者に占める女性割合、男女の平均継続勤務年数の差異、各月の労働時間の状況、女性管理職比率、男女間賃金差異を把握します。原則、直近の事業年度を使い、採用割合と継続勤務年数は雇用管理区分ごとに確認します。
継続勤務年数の状況把握では、無期契約の労働者と、同じ使用者との有期契約の通算期間が5年を超える労働者が対象です。労働時間は、非正規を含めた全労働者を確認し、みなし労働・管理監督者・短時間労働者等は、公的手引きに沿って区分して把握します。公表用の「平均残業時間」の対象範囲と同じとは限りません。厚生労働省:行動計画策定パンフレットp.4~7
101~300人の行動計画策定時の賃金差異把握は、計画開始日が2026年4月1日以降の計画から適用されます。既存計画の扱いと、情報公表に必要な賃金集計を分けて進めましょう。新潟労働局:基礎項目と改正の取扱い
数字の差が、どこで生じているかを調べる
女性管理職比率が低いときは、直ちに「女性の意欲が低い」と結論付けず、採用、配置、教育訓練、昇進候補への選抜、評価、就業継続のどこで差が生じたかを調べます。
LABの実務提案: 「事実/考えられる原因/追加で確認する資料/改善案」の4欄で整理してください。採用時点の男女構成、勤続年数、職種、労働時間、昇進候補者への研修機会などを並べると、取組を選びやすくなります。本人や現場への聞き取りは、決めつけを確かめるためではなく、数値だけでは分からない事情を確認するために行います。
育休の手続きが課題なら、産休・育休・産後パパ育休の実務ガイドで運用を確認できます。介護との両立は、社員から介護相談を受けたときの対応ガイドを参照してください。
4.数値目標と行動計画を作り、周知・公表・届出を行う
計画に記載する内容と目標数
行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、実施時期を記載します。「女性活躍を推進する」「研修を実施する」だけで終わらず、実数・割合等で達成状況を確認できる目標を設定します。
101~300人は数値目標を1つ以上、301人以上は原則として「職業生活の機会提供」と「仕事と家庭の両立環境」の両区分で各1つ以上設定します。301人以上でも、一方の取組が既に進み、他方に集中するのが適当と分析できる場合は、他方から2項目以上を選ぶ例外があります。一般事業主行動計画等省令第2の2条
LABの作成例(実在企業の事例ではありません): 自社分析で昇進候補層の育成が課題と分かった場合、「計画終了時までに課長級以上の女性を現状○人から○人にする」という目標に、候補者の育成機会の確認、研修、評価基準の点検、実施時期を組み合わせます。空欄には実際の人数と実行可能な目標を入れ、採用・登用の方法は均等法にも照らして確認します。
計画期間自体は必須記載事項です。おおむね2~5年で区切り、進捗を確認して改定することが公的指針で推奨されています。全社一律に「必ず3年」とする法律ではありません。厚生労働省:事業主行動計画策定指針
社内周知、外部公表、届出はそれぞれ完了させる
| 工程 | 行うこと | LABが提案する保存記録 |
|---|---|---|
| 状況把握・分析 | 基礎項目を集計し、改善すべき課題を分析 | 対象年度、算出条件、分析結果 |
| 計画策定 | 数値目標、取組内容、実施時期、期間を決定 | 決裁済み計画、担当者 |
| 社内周知 | 非正規社員も含め、掲示・書面・メール等で知らせる | 周知日、通知文、配布先 |
| 外部公表 | 企業DBや自社サイト等に計画を掲載 | 公表URL、掲載日 |
| 労働局届出 | 一般事業主行動計画策定・変更届を提出 | 提出控え、受付記録 |
| 実施・見直し | 取組を進め、達成状況を点検する | 進捗、課題、次の改善案 |
周知・公表・届出の根拠:女性活躍推進法第8条、厚生労働省:最新の届出様式と労働局窓口。表の保存記録欄はLABの提案であり、独自の法定様式ではありません。
外部公表には女性の活躍推進企業データベースを利用できます。自社ホームページ等での公表も可能です。社内掲示だけでは外部公表にならず、DB登録だけでは労働局への届出になりません。
届出先は、主たる事業所所在地の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。電子申請、郵送、持参で、計画を策定・変更した旨を届け出ます。計画本体と「策定・変更届」を区別し、2026年10月1日対応の最新様式を使用してください。
次世代育成支援対策推進法の行動計画と一体にする場合は、両法の要件を満たし、計画期間も同一である必要があります。同じ「一般事業主行動計画」という名称でも、自動的に両方へ対応できるわけではありません。
5.男女間賃金差異は、3区分で集計・算出する
計算は賃金総額と人員数の整理から
男女間賃金差異は、男性の平均年間賃金を100としたときの女性の平均年間賃金の割合です。基本式は次のとおりです。
平均年間賃金=対象事業年度の男女別賃金総額÷男女別人員数
男女間賃金差異(%)=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100
この計算を「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分で行い、小数点第2位を四捨五入して第1位まで公表します。全労働者の数値は、正規・非正規の割合を単純に平均せず、合算した賃金総額と人員数から求めます。厚生労働省:賃金差異算出・公表方法
正規には、直接雇用する無期フルタイム労働者と短時間正社員を含めます。非正規は短時間・有期雇用労働者です。「契約社員」「パート」等の社内呼称だけで区分しません。派遣労働者の賃金は派遣元が算定し、派遣先では自社の非正規の賃金に混ぜません。本社だけでなく、事業主全体を対象にします。
算出前のチェック表
| 確認すること | 処理の要点 |
|---|---|
| 対象期間 | 原則、直近事業年度。開始日と終了日を記録する |
| 賃金範囲 | 給料・手当・賞与等の労基法上の賃金を集計する |
| 除外する手当等 | 退職手当、通勤等の実費弁償は企業判断で除外可能。男女共通にする |
| 人員数 | 男女で同じ方法を使い、毎年一貫させる |
| 入退社・勤務期間 | 給与支払日や月末等、12か月の特定日の人数の平均を使う方法もある |
| パートの時間換算 | 所定労働時間等を参考に換算可能。換算した旨を必ず注記する |
| 方法変更 | 人員数の数え方を変更した旨と理由を明らかにする |
| 対象者がいない区分 | 一方の性別がいない等、比較できない区分は「-」。0%で埋めない |
| 公表前確認 | 3区分、丸め、対象期間、換算注記を照合する |
根拠:厚生労働省:男女間賃金差異通達・別添第3~5。実際の給与台帳・源泉徴収簿等に合わせ、対象賃金と人員の対応を給与担当者と確認してください。
説明欄は、差が生じた背景と改善課題を書く
対象期間と、時間に基づく人員換算を行った場合の注記は必要です。これに加えて、役職構成、勤続年数、職種、労働時間等を分析した補足説明を公表することが望ましいとされています。説明欄は任意の追加情報ですが、必須の3区分を置き換えるものではありません。厚生労働省:男女間賃金差異の解説資料
賃金差異があることだけで、直ちに違法な男女差別とは断定できません。ただし、理由を分析せず「雇用形態の違いだから問題なし」とするのも不十分です。雇用形態や役職に男女差が生じた背景を調べ、採用・配置・育成・評価・登用に改善できる点がないか確認します。
LABの実務提案: 説明欄は「算出の前提→確認できた背景→残る課題→改善取組」の順に書きます。数値をよく見せるために都合のよい人数だけを除外したり、原因を推測だけで記載したりしないでください。
6.女性管理職比率は、役職名と職務・責任を確認して算出する
女性活躍推進法上の「管理職」とは
対象は「課長級」と、それより上位の役職にある労働者の合計で、役員は除きます。課長級は次のいずれかに該当する人です。
- 通常「課長」と呼ばれ、2係以上の組織、又は課長を含む構成員10人以上の組織の長。
- 呼称・構成員にかかわらず、職務内容と責任の程度が課長級に相当する人。ただし、一番下の職階は除く。
まず形式的な要件を確認し、当てはまらない場合は職務・責任の実態を照合します。一般的に課長代理・課長補佐は課長級に該当しません。社内で「マネジャー」と呼ぶ人をすべて集計したり、課長という名称がないため管理職はゼロとしたりしないでください。厚生労働省:管理職比率通達・別添第3
労働基準法の「管理監督者」とは制度目的・判断基準が異なります。残業代の支払対象外として扱っている人を、そのまま女性活躍推進法の管理職名簿にする方法は避けましょう。
算出式と確認する記録
女性管理職比率(%)=女性管理職数÷管理職総数×100
小数点第2位を四捨五入して第1位まで公表し、基準となる年月を明示します。男女で同じ定義・基準日を使い、前述のとおり最新の情報を用います。厚生労働省:管理職比率通達・別添第4~5
LABの実務提案: 役職一覧に「役職名/課長級等への該当理由/人数/女性人数/基準日」を設けます。役員、係長、課長代理等は判定を分けて記録してください。管理職自体がいない場合、分母が0の計算を0%として確定せず、対象者なしという事情を整理し、DBの入力方法を労働局に確認します。
7.残りの情報公表項目を選び、求職者が見つけられる場所に掲載する
2つの必須指標以外の選択肢
| 区分 | 選べる公表項目(各区分7項目) |
|---|---|
| 職業生活の機会提供 | 女性採用割合/男女別採用競争倍率/女性労働者割合/係長級の女性割合/役員の女性割合/男女別の職種・雇用形態転換と派遣労働者の雇入れ実績/男女別の再雇用・中途採用実績 |
| 仕事と家庭の両立環境 | 男女の平均継続勤務年数の差異/男女別継続雇用割合/男女別育児休業取得率/労働者全体の平均残業時間/雇用管理区分別の平均残業時間/有給休暇取得率/雇用管理区分別の有給休暇取得率 |
根拠:厚生労働省:情報公表項目一覧、省令第19条。
101~300人は、この表全体から1項目以上を追加します。301人以上は、両区分からそれぞれ1項目以上です。採用割合と係長級割合を追加しても、両立環境の項目がなければ301人以上の最低要件を満たしません。
項目の名称だけで集計を始めず、公的な対象範囲・算出方法を確認します。例えば、再雇用は定年後の再雇用を除き、通常の労働者としての雇入れが対象です。中途採用の公表項目は、おおむね30歳以上を通常の労働者として雇い入れた実績を扱います。継続雇用割合は新規学卒者等の採用後の継続を確認する指標です。
残業時間には、みなし労働・管理監督者等・短時間労働者の除外や、雇用管理区分による集計の指定があります。育休取得率を含め、項目ごとに雇用管理区分別公表が必要なものもあります。男女間賃金差異の「正規・非正規」という2区分を、全項目にそのまま当てはめないでください。
LABの実務提案: まず行動計画の課題とつながる項目を選び、その中から毎年同じ条件で集計できるものを検討します。「取組が少ないから制度概要だけ掲載する」という方法では、実績項目の最低公表数を満たせません。
公表日・対象期間・基準日をそろえて確認する
情報はおおむね年1回以上更新し、公表した日を明らかにして、女性の求職者等が容易に閲覧できる形で掲載します。省令第19条第4項
女性の活躍推進企業データベースへの掲載が厚労省の推奨する方法です。自社サイトでの公表も可能ですが、有価証券報告書に載せるだけで義務を果たしたことにはなりません。採用ページ等から必要な情報へたどり着けるようにし、行動計画も一緒に閲覧できる形が望ましいとされています。厚生労働省:公表方法の案内
なお、DBの必須欄が未入力のため更新できない場合、まだ施行後の事業年度が終了していない企業向けに、2026年9月25日付の公式入力案内が出ています。対象条件と説明欄の公表予定表示を確認して利用してください。この暫定入力の案内を、実績が0であることや、公表期限の一律延長と解釈しないようにします。企業DB:お知らせ「男女の賃金の差異」「管理職に占める女性労働者の割合」欄の入力について
8.女性の健康支援とえるぼし認定は、基本対応の次に検討する
健康への配慮は、本人の意思とプライバシーを尊重する
女性活躍推進法の基本原則では、女性の健康上の特性に留意し、個性と能力を十分に発揮できるよう取り組むことが明確化されました。女性活躍推進法第2条
一般事業主行動計画でも、健康上の特性に関する取組を行うことが望ましいとされています。相談体制、理解を促す研修、休暇や柔軟な働き方等を、自社の課題に応じて検討します。すべての健康施策が全事業主に一律義務付けられたわけではありません。厚生労働省:事業主行動計画策定指針
本人が希望する支援を確認し、健康情報の取扱いと共有範囲を慎重に決めてください。性別だけで負担の軽い仕事に固定したり、本人の希望を聞かず昇進候補から外したりすることを、健康配慮として正当化しないようにします。
4つの認定の違い
| 認定 | 実務上の位置づけ |
|---|---|
| えるぼし | 計画策定・届出を行い、女性活躍の取組等が認定基準を満たす企業。1~3段階 |
| プラチナえるぼし | えるぼし認定企業のうち、計画目標を達成し、実績等が特に優良な企業 |
| えるぼしプラス | えるぼしの基準に、女性の健康支援の基準を追加 |
| プラチナえるぼしプラス | プラチナえるぼしの基準に、女性の健康支援の基準を追加 |
認定は申請による制度です。情報公表の義務を果たしただけで、自動的に認定されるものではありません。厚生労働省:認定概要
プラス認定の健康支援には、休暇・柔軟な勤務の制度、方針と制度の周知、理解促進の取組、担当者の選任と相談体制という4つの基準があります。追加する休暇制度の基準では年次有給休暇が除かれているため、「年休があるから満たす」とは判断しません。厚生労働省:プラス認定の4基準
プラチナ等の特例認定後は、一般事業主行動計画の策定・届出等に適用除外があり、代わりに女性活躍の取組実績等を毎年公表する仕組みになります。認定を取得した企業は、一般企業向けの最低公表項目表だけで運用せず、特例認定の継続要件を確認してください。女性活躍推進法第13条
10月1日の認定変更と、ハラスメント対策義務を分ける
2026年10月1日から、プラチナえるぼしの認定要件に、求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置の内容を女性の活躍推進企業データベースに公表していることが追加されました。この内容も毎年公表する必要があります。厚生労働省:現行省令第9の3・9の4条、認定概要
同日の男女雇用機会均等法改正による求職者等セクハラ防止措置は、認定を希望する企業だけの義務ではありません。企業規模を問わず、事業主が防止措置を講じる必要があります。「防止措置を講じる義務」と「プラチナ認定のための措置内容のDB公表」を別々に確認します。カスタマーハラスメント防止措置の根拠は、労働施策総合推進法です。厚生労働省:2026年10月のハラスメント対策改正
9.他の労働法と分けて、毎年の確認を仕組みにする
女性活躍推進法は「女性を優遇すればよい法律」ではない
女性活躍推進法は、格差の実情を把握し、課題に合う計画と情報公表を進める法律です。採用・配置・昇進等で性別による差別を禁止する男女雇用機会均等法とは、役割を分けて理解します。女性のみを対象にする措置は、ポジティブ・アクションとして認められる条件等を確認する必要があり、数値目標があるだけでどのような採用・登用も許されるわけではありません。厚生労働省:雇用における男女の均等な機会と待遇
育児・介護休業法による休業・両立支援制度や育休取得状況の公表義務、労働施策総合推進法によるハラスメント対策も、別に確認してください。女性活躍情報を公表したことで、他法の手続きがすべて完了するわけではありません。
公表・届出の最終チェック
- 自社の常時雇用労働者数と義務範囲を確認した。
- 状況把握・課題分析に基づき、必要数の数値目標を設定した。
- 行動計画の期間、取組内容、実施時期を記載した。
- 社内周知、計画の外部公表、労働局への策定・変更届をそれぞれ完了した。
- 賃金差異の3区分、対象年度、人員換算等の注記を確認した。
- 管理職の公的定義、女性人数と総数、基準日を確認した。
- 企業規模に合う追加公表項目と、項目別の対象範囲を確認した。
- 公表日を記載し、求職者が閲覧できる場所に掲載した。
- 翌年度の集計・更新担当者を決めた。
このチェックリストはLABの確認用です。法定の届出書や認定申請書の代わりにはなりません。
年間の確認スケジュールを決める
LABの実務提案: 決算月を起点に、年度終了時に給与・人員・管理職データを確定し、翌月に算出条件を照合、2か月目に説明欄と追加項目を確認、3か月目までを目安に公表する予定を組みます。四半期ごとの短い会議で計画の進捗を確認し、次の計画策定前に課題分析を更新しましょう。
情報公表のおおむね年1回以上の更新と、法第8条に基づく取組・目標達成への努力を、社内の進捗管理と結びつけます。通常の一般事業主に、毎年一律の「行動計画進捗報告書」を労働局へ提出する制度と混同しないでください。計画を変更した場合の届出は別に必要です。女性活躍推進法第8条
初めて担当する人は、今日の作業として「人数の判定」「現在の計画期間」「公表ページ」「次の公表予定日」の4点を確認してください。算出条件や管理職の範囲で迷ったら、主たる事業所所在地の労働局雇用環境・均等部(室)へ相談します。厚生労働省:女性活躍推進法の資料・相談窓口


