「社員が50人になったら、誰を選任すればよいのか」「工場と本社は、まとめて数えてよいのか」。安全衛生を初めて担当すると、制度の名前より先に、自社に必要な対応を整理したくなるものです。
安全衛生管理体制は、原則として会社全体ではなく、事業場ごとの業種と常時使用する労働者数で判断します。さらに、資格を持つ人を探すだけでなく、選任・届出、職務の分担、教育や巡視までつなげる必要があります。
この記事では、中小企業の人事・総務担当者が「誰を選任し、何を届け出て、何を実施するか」を確認できるよう、順番に整理します。
制度確認日:2026年10月15日。本文では、法定義務/努力義務/公的推奨/LABの実務提案を区別します。以下は事業場の基本的な管理体制です。建設現場等の統括安全衛生責任者、作業主任者、化学物質管理者などは、作業や契約関係に応じて別途確認してください。
1.最初に、事業場の業種と人数を確認する
会社全体の人数を、そのまま使わない
原則として、本社・工場・店舗など、場所ごとに一つの事業場として考えます。ただし、離れた小さな出張所でも、組織や事務能力などから独立性がなければ、上位の事業場と一括して扱う場合があります。
業種も、法人の主な事業だけで一律には決めません。例えば、製造会社の工場と、管理事務を行う本社では、業種の扱いが異なることがあります。迷う場合は、所在地、業務内容、指揮命令や管理の仕組みを整理し、所轄の労働基準監督署へ確認してください。厚生労働省:労働安全衛生法の施行について
正社員だけで数えない
「常時使用する労働者数」は、正社員だけの人数ではありません。日雇い、パート、アルバイトなどを含め、常態として使用している人数で判断します。短時間勤務だからといって、機械的に除外したり、勤務時間で人数を割り引いたりしないでください。
派遣労働者は、原則として派遣元・派遣先の双方の事業場で人数に含めます。ただし、安全管理者と安全委員会の義務は派遣先に課されます。管理体制の人数判定と、健康診断・ストレスチェックの実施対象者の範囲は別に確認します。厚生労働省:常時使用する労働者数の数え方
LABの実務提案: 最初に「事業場名・所在地・実際の業種・直接雇用の人数・派遣受入人数・派遣中の人数・判定日」を一枚にまとめます。採用や異動で人数が増える予定も、併せて確認しましょう。
2.業種・人数別に、必要な管理者等を判定する
「安全衛生管理者」という一つの選任区分はない
労働安全衛生法の基本的な選任区分は、安全管理者、衛生管理者、総括安全衛生管理者、安全衛生推進者・衛生推進者、産業医などです。「安全衛生管理者」を一つの法定名称として扱うと、資格や届出を取り違えやすくなります。労働安全衛生法10〜13条の2
次の表は、法定義務となる基本体制です。表中の「対象業種」は、この後の業種一覧を指します。
| 事業場の人数 | すべての業種で確認する基本体制 | 業種によって追加・変更する体制 |
|---|---|---|
| 1〜9人 | 下記の基本体制の人数基準には達しない。教育・健康診断等は別途必要 | 作業主任者・化学物質管理者等は人数だけで判断しない |
| 10〜49人 | 衛生推進者を選任 | 対象業種は、衛生推進者に代えて安全衛生推進者を選任 |
| 50人以上 | 衛生管理者・産業医を選任し、衛生委員会を設置 | 対象業種は安全管理者を選任。安全委員会は下記の50人・100人基準で判定 |
| 100人・300人・1,000人以上 | 上記の体制に加えて確認 | 業種に応じ、総括安全衛生管理者を選任 |
根拠:労働安全衛生法施行令2〜5・8・9条、労働安全衛生規則12条の2。50人になった場合、推進者だけで50人以上の体制を代用することはできません。
安全管理者・安全衛生推進者が必要になる業種
次の業種では、50人以上なら安全管理者、10〜49人なら安全衛生推進者を選任します。
- 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
- 製造業(物の加工業を含む)
- 電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業
- 各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業
- 各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業
- 旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
「卸売業・小売業ならすべて対象」という意味ではありません。上記以外の業種で10〜49人なら衛生推進者です。労働安全衛生法施行令2・3条
公的推奨: 小売業・社会福祉施設・飲食店等には、安全管理者や安全衛生推進者の法定選任対象外でも、「安全推進者」の配置等を求めるガイドラインがあります。これは、法定の「安全衛生推進者」「衛生推進者」と別の制度です。厚生労働省:安全推進者
総括安全衛生管理者は、100人・300人・1,000人の基準で確認する
| 業種 | 選任が必要になる人数 |
|---|---|
| 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 100人以上 |
| 上記の対象業種のうち、それ以外の業種(製造業、電気業、所定の卸売・小売業等) | 300人以上 |
| その他の業種 | 1,000人以上 |
総括安全衛生管理者には、工場長など、その事業場の事業を実質的に統括管理する人を選任します。資格試験の合格者を探す制度ではなく、権限と責任を持つ人が、安全管理者・衛生管理者を指揮して安全衛生業務を統括する仕組みです。労働安全衛生法10条、同施行令2条
3.安全委員会と衛生委員会を分けて確認する
衛生委員会は、業種を問わず50人以上の事業場に必要です。一方、安全委員会は次のとおり、業種と人数で分かれます。
| 安全委員会の対象業種 | 設置が必要になる人数 |
|---|---|
| 林業、鉱業、建設業、清掃業。製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業。道路貨物運送業、港湾運送業、自動車整備業、機械修理業 | 50人以上 |
| 安全管理者の対象業種のうち、上記以外 | 100人以上 |
| 安全管理者の対象業種以外 | この基本体制としての設置義務なし |
両方の設置義務がある場合は、別々に設ける代わりに安全衛生委員会として一体で設置できます。労働安全衛生法17〜19条、同施行令8・9条
例えば、事業場が60人の金属製品製造業なら、安全管理者・衛生管理者・産業医の選任、安全委員会・衛生委員会の設置が必要です。60人の食品製造業なら、安全管理者等の選任と衛生委員会の設置は必要ですが、安全委員会の人数基準は100人です。一般的な事務所として扱われる60人の事業場なら、衛生管理者・産業医・衛生委員会が基本になります。
委員は、会社が管理職だけで一方的に決めるものではありません。安全委員会は安全管理者等、衛生委員会は衛生管理者・産業医等、法定の構成を満たします。原則として、議長となる委員以外の半数は、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の推薦に基づいて指名します。労働安全衛生法17〜19条
法定義務: 委員会は毎月1回以上開催し、開催の都度、議事の概要を遅滞なく労働者に周知します。委員会の意見・それを踏まえた措置や重要な議事を記録し、3年間保存します。委員会を設けていない事業者にも、安全・衛生に関する労働者の意見を聴く機会が必要です。労働安全衛生規則23・23条の2
4.資格・人数・専属要件を確かめて、選任・届出を行う
講習修了や免許保有と、選任を分ける
| 選任区分 | 候補者を決めるときの確認点 |
|---|---|
| 安全管理者 | 所定の学歴・産業安全の実務経験と選任時研修、または労働安全コンサルタント等の資格要件。研修だけで全員が選任できるわけではない |
| 衛生管理者 | 業種に合う衛生管理者免許、または医師・歯科医師・労働衛生コンサルタント等の資格 |
| 安全衛生推進者・衛生推進者 | 登録された養成講習の修了、または所定の学歴・実務経験等。担当する業務に必要な能力を確認 |
| 産業医 | 医師であり、所定の産業医学研修修了等の要件を満たすこと。健康診断の委託先医師が、自動的に産業医になるわけではない |
根拠:労働安全衛生規則5・7・10・12条の3・14条。推進者の要件は厚生労働省:安全衛生推進者等養成講習でも確認できます。
衛生管理者は、農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業では、第二種衛生管理者免許だけでは選任できません。 第一種衛生管理者免許・衛生工学衛生管理者免許、または法令で認められた他の資格が必要です。その他の業種では、第二種免許による選任も可能です。
衛生管理者の最低人数も確認します。
| 事業場の人数 | 衛生管理者の最低人数 |
|---|---|
| 50〜200人 | 1人 |
| 201〜500人 | 2人 |
| 501〜1,000人 | 3人 |
| 1,001〜2,000人 | 4人 |
| 2,001〜3,000人 | 5人 |
| 3,001人以上 | 6人 |
安全管理者・衛生管理者は原則として事業場に専属の人を選任します。複数選任時のコンサルタント等には例外があります。推進者も原則専属ですが、一定の専門家等を選任する場合の例外があります。本社の有資格者一人を、各工場へ形式的に名義だけ置く運用は避けてください。
また、所属を意味する「専属」と、安全・衛生の業務を専ら担当する「専任」は別です。建設業等の安全管理者には300人以上などから専任要件があり、衛生管理者は1,000人超の事業場や一定の有害業務がある事業場で専任が必要になります。産業医は原則50人以上で1人以上ですが、1,000人以上または一定の有害業務に500人以上が従事する場合は専属、3,000人超では2人以上が必要です。該当する場合は、基本表に加えて個別要件を確認します。労働安全衛生規則4・7・12条の3・13条
選任は14日以内、報告は遅滞なく行う
| 手続き | 期限・対応 |
|---|---|
| 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 |
| 上記4区分の選任報告 | 選任後、遅滞なく所轄労働基準監督署長へ。原則電子申請 |
| 安全衛生推進者・衛生推進者の選任 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 |
| 推進者の選任後 | 選任報告は不要。氏名を作業場の見やすい場所への掲示等で関係労働者に周知 |
「届出も14日以内」とまとめず、選任期限と報告の時期を分けて管理してください。 選任報告の電子申請は2025年1月から原則義務化されています。労働安全衛生規則2・4・7・12条の3・12条の4・13条、厚生労働省:電子申請の案内
LABの実務提案: 「選任理由が生じた日→候補者・資格確認→社内決裁→選任日→報告日・受付控え」の順で台帳を作ります。免許・研修修了証などの確認資料もそろえます。退職・異動・産業医の契約終了時は、欠員、後任の選任と必要な報告まで確認しましょう。
5.選任後は、現場・管理者・人事の役割を決める
安全管理者は安全に係る技術的事項、衛生管理者は衛生に係る技術的事項を管理します。産業医は、健康診断後の措置や面接指導、作業環境・作業管理など、医学的知識が必要な事項に関わります。選任しても、事業者自身の責任がなくなるわけではありません。労働安全衛生法3・10〜13条、同規則14条
人事が一人で設備の安全性や健康上の就業判断を決めるのではなく、専門性と権限に応じてつなぎます。
| 担当 | LABが提案する役割分担の例 |
|---|---|
| 経営者・事業場責任者 | 方針、予算、改善の決定。管理者等が活動できる権限と時間の確保 |
| 安全管理者・衛生管理者・推進者 | 法定職務に沿った点検、教育、改善の確認。必要な課題の報告 |
| 現場責任者 | 作業の危険・有害要因の把握、手順の具体化、対策の実施 |
| 産業医 | 医学的評価と助言・勧告、健康管理に必要な対応 |
| 人事・総務 | 選任台帳、届出、健診・教育の日程、委員会事務、対応漏れの確認 |
表は一例です。法令上の職務や、管理者等に付与すべき権限を、人事の事務作業だけに置き換えるものではありません。
6.教育・巡視・健康管理を、日常業務に組み込む
教育は、担当者の選任とは別に必要
法定義務: 雇入れ時と作業内容変更時には、担当する業務に必要な安全衛生教育を遅滞なく実施します。パート・アルバイトも対象です。危険・有害な業務では特別教育、対象業種で新たに職長等に就く人には職長教育など、別の要件も確認します。労働安全衛生法59・60条、同規則35・36条
LABの実務提案: 入社案内とは別に、「担当作業の危険・保護具・作業前点検・異常時の停止と連絡先」を現物で教えます。教育日、対象者、内容、教えた人、理解確認の結果を残すと、未受講者や再教育の必要性を確認できます。特別教育には、受講者・科目等の記録を3年間保存する義務があります。労働安全衛生規則38条
巡視は、担当ごとの頻度と改善の権限を確かめる
| 担当 | 法令上の巡視 |
|---|---|
| 安全管理者 | 作業場等を巡視し、危険のおそれがあれば直ちに必要な防止措置。全業種一律の「週1回」という規定ではない |
| 衛生管理者 | 少なくとも毎週1回、作業場等を巡視。有害のおそれがあれば直ちに必要な措置 |
| 産業医 | 原則として少なくとも毎月1回。法定の情報提供と事業者の同意等の条件を満たす場合、少なくとも2か月に1回 |
産業医の頻度を変更する場合は、衛生管理者の巡視結果等の所定情報を毎月1回以上提供し、産業医の意見に基づく委員会の調査審議なども踏まえて判断します。労働安全衛生規則6・11・15条、厚生労働省:産業医制度の見直し
LABの実務提案: 点検表には、指摘だけでなく「応急措置・恒久対策・担当者・期限・完了確認」を残します。差し迫った危険は、次回の委員会まで持ち越さず、現場の停止・退避など必要な安全確保につなげてください。
健康診断は、受診後の対応まで予定に入れる
法定義務: 対象労働者には雇入れ時・定期の健康診断等を実施し、結果の記録、本人への通知、異常所見がある人についての医師等からの意見聴取、必要な就業上の措置まで行います。特殊健康診断等は、有害業務ごとに確認が必要です。
50人未満でも、健康診断等の義務がなくなるわけではありません。産業医選任義務のない事業場で、医師・保健師等に健康管理等を行わせることは努力義務です。労働安全衛生法13条の2・66〜66条の6
公的支援: 小規模事業場は、地域産業保健センターの健康相談・医師の意見聴取等の支援も確認できます。利用条件や申込方法を地域の窓口で確かめてください。労働者健康安全機構:地域産業保健センター
7.リスクアセスメントと高年齢者対策は、義務の区分を分ける
リスクアセスメントを、すべて同じ義務と扱わない
リスクアセスメントは、危険・有害要因を洗い出し、リスクを見積もって、低減策を検討する取組です。法律の位置づけは対象によって異なります。
- 努力義務: 法28条の2に基づく一般のリスクアセスメントと対策。化学物質以外については製造業・建設業等の対象業種に限る規定があります。
- 法定義務: 法57条の3の対象化学物質について、法令で定める時期・方法によるリスクアセスメントを実施すること。
- 法定義務: 設備の危険防止、ばく露低減、濃度基準への対応など、別の条文で義務付けられた措置。一般のリスクアセスメントが努力義務でも省略できません。
根拠:労働安全衛生法20〜25・28条の2・57条の3、同規則577条の2等。
LABの実務提案: 新しい設備・製品の導入、作業変更、事故・ヒヤリハット時に、現場責任者と対策を見直します。化学物質の対象判定、SDS、化学物質管理者・保護具着用管理責任者の詳細は、化学物質管理とSDSの実務ガイドで確認してください。これらの選任要否は「50人未満だから対象外」とは判断できません。
高年齢者への配慮は、2026年4月から法律上の努力義務
努力義務: 2026年4月1日から、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理等の必要な措置を講ずることが、法62条の2に規定されました。
公的指針に沿う取組: 「高年齢者の労働災害防止のための指針」では、作業場所の明るさ、段差や滑り、身体的負担、健康・体力の状況に応じた対応等を示しています。年齢だけで一律に作業を制限するのではなく、作業条件と本人の状況を確かめて改善します。厚生労働省:高年齢労働者の安全衛生対策
8.ストレスチェックと今後の改正を、施行日で管理する
50人未満への義務化は、2028年4月1日
2026年10月時点では、50人以上の事業場でストレスチェックの実施が法定義務、50人未満は努力義務です。 50人以上では、対象労働者に1年以内ごとに1回、定期的に実施し、実施状況を監督署に報告します。結果に基づく高ストレス者等の申出に応じた医師の面接指導と、必要な事後措置も確認します。
50人未満の事業場への実施義務の拡大は、2028年4月1日施行です。「改正法が成立したので、すでに全事業場で義務」とは扱いません。厚生労働省:ストレスチェック制度、施行期日を定める政令
結果は原則として実施者から本人へ通知され、本人の同意なく事業者が個人結果の提供を受けることはできません。対象労働者の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位の人は、実施事務に従事できないなど、情報管理上の制限もあります。ひとり人事でも、外部委託や別担当者との分担を含め、個人結果に触れる人と申込・日程管理をする人を整理してください。
集団分析と結果を踏まえた職場環境改善は、実施義務とは別の努力義務です。労働安全衛生法66条の10、同規則52条の10・52条の14等
施行済みの変更と、今後の予定を分ける
管理体制の運用に関係する主な変更をまとめます。個別の機械・化学物質・作業に関するすべての改正を網羅する表ではありません。
| 施行時期 | 2026年10月時点の状態と確認点 |
|---|---|
| 2026年1月1日 | 施行済み。特定自主検査の基準整備、技能講習の不正防止対策等。対象機械・講習の管理を確認 |
| 2026年4月1日 | 施行済み。高年齢者対策の努力義務化、混在作業場所での元方事業者等の措置対象拡大など。自社と請負人・個人事業者等の連絡体制も確認 |
| 2026年10月1日 | 施行済み。個人ばく露測定を作業環境測定の一部に位置づけ、資格・測定基準等を整備。対象作業と測定実施者を確認 |
| 2027年1月1日 | 今後施行。個人事業者等の業務上災害の報告制度。報告主体・対象となる災害・手順を確認 |
| 2027年4月1日 | 今後施行。個人事業者等の安全衛生教育等、作業場所管理事業者による連絡調整措置等。ストレスチェックの集団分析では、個人を識別できない方法によることを省令に明記 |
| 2028年4月1日 | 今後施行。50人未満の事業場へのストレスチェック実施義務の拡大。実施者・委託先、面接指導、個人情報管理を準備 |
| 2030年4月1日 | 今後施行。SDSの通知義務違反に対する罰則等。罰則の施行前も、現在のSDS通知義務は存在する |
根拠:厚生労働省:労働安全衛生法改正、施行期日政令、集団分析に関する2026年6月30日付通達。2027年の集団分析の改正は、努力義務を一律の実施義務へ変えるものではありません。
化学物質の対象追加等は、化学物質管理・SDSの記事で使用製品と照合してください。
なお、カスタマーハラスメントと求職者等へのセクシュアルハラスメントの防止措置は、2026年10月1日から事業主の義務です。衛生委員会やストレスチェックを実施しているだけで対応が完了するものではないため、別の対応項目として管理します。厚生労働省:職場におけるハラスメントの防止
9.記録・点検・改善を、次の担当者にも引き継げる形にする
最初から大きな管理システムを作る必要はありません。LABの実務提案として、次の確認表を使い、未対応事項と担当者を明確にしましょう。これは、法定期限を先延ばしにするための手順ではありません。
- 事業場ごとの業種・人数・判定理由を記録した。
- 必要な管理者・推進者・産業医と委員会を確認した。
- 資格、最低人数、専属・専任要件、選任日、必要な報告・周知を確認した。
- 管理者等の権限と、現場・人事の役割分担を決めた。
- 教育、巡視、健康診断と事後措置、ストレスチェックの予定を確認した。
- 作業に応じたリスクアセスメント、化学物質管理、高年齢者対策を確認した。
- 指摘事項に担当者・期限を付け、完了を確かめる方法を決めた。
- 記録ごとの保存期間、閲覧権限、保管場所、引継ぎ先を決めた。
委員会の記録、健康診断、特別教育、化学物質関係の記録では、保存期間や情報の扱いが異なります。「安全衛生関係はすべて3年保存」と一括しないでください。
人事の最初の仕事は、すべてを一人で解決することではありません。自社の業種と人数から必要な体制を確認し、権限を持つ人・現場・専門家をつないで、未対応を残さないことです。まずは選任台帳と年間予定を照合し、抜けている手続きと実施事項を一つずつ具体化していきましょう。


